この章で扱うこと
統計学では、データを「偶然に得られた値」として扱います。
その偶然を数学的に表すための道具が確率です。
この章では、次の流れで確率を整理します。
- 標本空間と事象
- 確率の公理
- 確率の基本公式
- 条件付き確率
- 独立性
- ベイズの定理
- 確率変数と分布
統計検定1級では、確率を「なんとなく起こりやすい割合」ではなく、集合に対して定義された関数として理解することが重要です。
標本空間と事象
偶然に起こりうるすべての結果を集めた集合を 標本空間 といい、Ω と書きます。
標本空間の部分集合を 事象 といいます。
例えば、サイコロを1回振る場合、
Ω={1,2,3,4,5,6}
です。
偶数が出る事象を A とすると、
A={2,4,6}
と書けます。
このように、事象は「文章で表された出来事」を集合として表したものです。
薬学や生命科学では、標本空間と事象を次のように置き換えると考えやすくなります。
| 場面 | 標本空間 Ω | 事象の例 |
|---|
| 細胞実験 | 測定された全ウェルの反応 | A=「細胞生存率が 80% 以上」 |
| 酵素阻害試験 | 試験した全化合物の結果 | B=「阻害率が 50% 以上」 |
| 副作用調査 | 観察した全患者の転帰 | C=「眠気が出た」 |
| AI創薬の予測 | モデルが評価した全候補化合物 | D=「活性ありと予測された」 |
ここで大事なのは、確率を学ぶと「何が起こったか」を数えるだけでなく、そこから研究上の判断に進めることです。
例えば、細胞生存率のデータからは「この濃度は安全そうか」、服薬アドヒアランスと血中濃度のデータからは「介入が必要そうか」、AI創薬モデルのスコアからは「どの化合物を次に実験するか」を考えられます。
確率は、実験・臨床・AI予測から得た情報を、事象、確率、研究判断へ変換するための言語です。
例えば、化合物スクリーニングで
A={活性がある化合物},B={細胞毒性が低い化合物}
とおくと、
A∩B
は「活性があり、かつ細胞毒性が低い化合物」を表します。
これは創薬の初期探索で本当に欲しい候補集合です。
つまり、集合の記号は抽象的に見えますが、実際には「どの候補を残すか」「どの条件を危険とみなすか」を明確にする道具です。
集合の基本操作
2つの事象 A,B に対して、よく使う集合の操作は次の3つです。
まず、和集合です。
A∪B
これは「A または B が起こる」ことを表します。
次に、共通部分です。
A∩B
これは「A と B が同時に起こる」ことを表します。
最後に、補集合です。
Ac
これは「A が起こらない」ことを表します。
例えば、サイコロで
A={2,4,6},B={4,5,6}
なら、
A∩B={4,6}
です。
Venn 図で見る和集合と共通部分。確率の加法公式では、重なり A∩B を二重に数えないことが重要です。
確率の公理
確率 P は、事象 A に対して数 P(A) を対応させる関数です。
P:F→[0,1]
ここで F は、確率を考える対象となる事象の集まりです。
統計検定1級では、Ω、F、P をまとめて
(Ω,F,P)
と書き、これを 確率空間 と呼ぶことを押さえておくとよいです。
確率は次の3つの性質を満たします。
1つ目は、確率は負にならないことです。
P(A)≥0
2つ目は、全体の確率が 1 であることです。
P(Ω)=1
3つ目は、互いに重ならない事象は確率を足せることです。
事象 A1,A2,… が互いに排反、つまり
Ai∩Aj=∅(i=j)
であるなら、
P(i=1⋃∞Ai)=i=1∑∞P(Ai)
が成り立ちます。
この3つが確率の出発点です。
確率の基本公式
確率の公理から、よく使う公式が導かれます。
まず、補集合の確率は、
P(Ac)=1−P(A)
です。
また、2つの事象 A,B について、
P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)
が成り立ちます。
P(A)+P(B) と足すだけでは、A と B の両方に含まれる部分を二重に数えてしまいます。
そのため、重なりである P(A∩B) を一度引きます。
特に A と B が排反なら、
A∩B=∅
なので、
P(A∪B)=P(A)+P(B)
となります。
劣加法性と Bonferroni の不等式
事象が重なっているかどうか分からないときでも、和集合の確率には上からの評価があります。
2つの事象 A,B について、
P(A∪B)≤P(A)+P(B)
が成り立ちます。
これを 劣加法性 といいます。
理由は、正確には
P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)
であり、
P(A∩B)≥0
だからです。
一般に、事象 A1,…,An について、
P(i=1⋃nAi)≤i=1∑nP(Ai)
が成り立ちます。
これは、複数の「失敗」や「副作用」のうち少なくとも1つが起こる確率を、簡単に上から押さえるときに使えます。
一方、共通部分の確率を下から評価する不等式も重要です。
2つの事象について、
P(A∩B)=1−P(Ac∪Bc)
です。
劣加法性より、
P(Ac∪Bc)≤P(Ac)+P(Bc)
なので、
P(A∩B)≥1−P(Ac)−P(Bc)
となります。
これを Bonferroni の不等式 といいます。
同じ式は、
P(A∩B)≥P(A)+P(B)−1
とも書けます。
例えば、ある薬で「有効である」確率が 0.8、「重い副作用が出ない」確率が 0.9 だとします。
この2つが独立かどうか分からなくても、
P(有効∩重い副作用なし)≥0.8+0.9−1=0.7
と下から評価できます。
独立性を仮定しなくても言える、という点が大事です。
Bonferroni の不等式は、独立性が不明でも「両方起こる確率」を下から評価できます。
条件付き確率
条件付き確率は、「B が起きたと分かっているときに、A が起こる確率」です。
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)
ただし、
P(B)>0
とします。
この式は、標本空間を Ω から B に狭めて考えている、と見ると理解しやすいです。
つまり、条件 B の中で A も起こっている部分の割合を見ています。
式を変形すると、
P(A∩B)=P(A∣B)P(B)
となります。
これは積の公式と呼ばれます。
同様に、
P(A∩B)=P(B∣A)P(A)
も成り立ちます。
条件付き確率では、見ている全体を Ω ではなく B に狭めます。
独立性
事象 A と B が独立であるとは、B が起きたことを知っても A の確率が変わらないことです。
P(A∣B)=P(A)
これを積の公式に代入すると、
P(A∩B)=P(A)P(B)
となります。
統計では、独立性はとても重要です。
例えば、独立な確率変数 X1,…,Xn を仮定すると、標本平均や分散の性質をきれいに計算できます。
ただし、「排反」と「独立」は別物です。
排反は同時に起こらないこと、独立は一方の情報がもう一方の確率を変えないことです。
薬学では、独立性を安易に仮定しないことが大切です。
例えば、
A={服薬アドヒアランスが良い},T={血中濃度が治療域に入る}
とすると、ふつう A と T は独立ではありません。
服薬できているという情報は、血中濃度が治療域に入る確率を変えるからです。
一方で、実験デザイン上は「独立に近い」とみなしたい場面もあります。
例えば、同じプレート上の隣り合うウェルでは位置効果が出ることがあるため、ウェルをランダム化して処理群を割り付けます。
これは、測定値どうしの不要な依存を減らすための工夫です。
全確率の公式
事象 B1,…,Bk が標本空間 Ω を重ならずに分けているとします。
つまり、
Bi∩Bj=∅(i=j)
かつ、
i=1⋃kBi=Ω
であるとします。
このとき、任意の事象 A について、
P(A)=i=1∑kP(A∣Bi)P(Bi)
が成り立ちます。
これは、A が起こる確率を、場合分けして足し合わせる公式です。
全確率の公式は、標本空間を B1, B2, B3 に分割してから A の確率を足し合わせる考え方です。
ベイズの定理
ベイズの定理は、条件付き確率の向きを入れ替える公式です。
P(Bj∣A)=∑i=1kP(A∣Bi)P(Bi)P(A∣Bj)P(Bj)
分子は「Bj が原因で A が起こる確率の重み」です。
分母は、すべての場合を足し合わせた A の確率です。
検査の例なら、A を「検査陽性」、Bj を「病気である」と考えると、
P(病気∣陽性)
のような確率を計算できます。
ここで大事なのは、検査が陽性になる確率と、陽性だった人が本当に病気である確率は違うという点です。
例題1:0,1 の送信と受信
0 または 1 を送信する通信を考えます。
送信される値は 0 のほうが多く、次の確率で選ばれるとします。
P(X=0)=0.7,P(X=1)=0.3
受信では、0 を 1 と誤る確率が 0.05、1 を 0 と誤る確率が 0.10 だとします。
P(Y=1∣X=0)=0.05,P(Y=0∣X=1)=0.10
このとき、受信値が 1 である確率 P(Y=1) を求めます。
また、受信値が 1 だったとき、本当に 1 が送られていた確率 P(X=1∣Y=1) を求めます。
| 送信値 | 受信値が 0 | 受信値が 1 |
|---|
| X=0 | 0.95 | 0.05 |
| X=1 | 0.10 | 0.90 |
解答
全確率の公式より、
P(Y=1)=P(Y=1∣X=0)P(X=0)+P(Y=1∣X=1)P(X=1)
です。
ここで、
P(Y=1∣X=0)=0.05,P(Y=1∣X=1)=0.90
なので、
P(Y=1)=0.05⋅0.7+(0.90)⋅0.3=0.035+0.270=0.305
です。
次に、ベイズの定理より、
P(X=1∣Y=1)=P(Y=1)P(Y=1∣X=1)P(X=1)
です。
したがって、
P(X=1∣Y=1)=0.3050.90⋅0.3=0.3050.270≈0.885
となります。
受信値が 1 だったとき、本当に 1 が送られていた確率は約 88.5% です。
送信前には 1 が送られる確率は 30% でしたが、受信値 1 という情報を得ると確率が大きく更新されます。
例題2:病気と検査
ある病気の有病率を 1% とします。
病気である事象を D、検査陽性である事象を + とします。
P(D)=0.01
検査の感度を 95% とします。
感度とは、病気の人を陽性と判定する確率です。
P(+∣D)=0.95
検査の特異度を 90% とします。
特異度とは、病気でない人を陰性と判定する確率です。
P(−∣Dc)=0.90
したがって、病気でない人が陽性になる確率は、
P(+∣Dc)=0.10
です。
検査で陽性だった人が本当に病気である確率を求めます。
| 状態 | 確率 | 陽性になる確率 | 全体に占める陽性 |
|---|
| 病気 D | 0.01 | 0.95 | 0.0095 |
| 病気でない D^c | 0.99 | 0.10 | 0.099 |
| 合計 | 1 | | 0.1085 |
解答
求めたいのは、
P(D∣+)
です。
ベイズの定理より、
P(D∣+)=P(+∣D)P(D)+P(+∣Dc)P(Dc)P(+∣D)P(D)
です。
数値を代入すると、
P(D∣+)=0.95×0.01+0.10×0.990.95×0.01
分子は、
0.95×0.01=0.0095
分母は、
0.0095+0.099=0.1085
なので、
P(D∣+)=0.10850.0095≈0.0876
です。
つまり、検査が陽性でも、本当に病気である確率は約 8.8% です。
有病率が低い病気では、偽陽性の影響が大きくなります。
例題3:薬と治療効果は独立か
ある臨床試験で、薬を投与された事象を A、治療効果があった事象を E とします。
次の確率が分かっているとします。
P(A)=0.5,P(E)=0.4,P(E∣A)=0.6
薬の投与と治療効果は独立かどうかを、分割表を作って判定します。
解答
まず、薬を投与され、かつ治療効果があった確率を求めます。
P(A∩E)=P(E∣A)P(A)=0.6×0.5=0.3
次に、治療効果があった全体の確率は P(E)=0.4 なので、薬を投与されていないが治療効果があった確率は、
P(Ac∩E)=P(E)−P(A∩E)=0.4−0.3=0.1
です。
また、P(A)=0.5 なので、
P(A∩Ec)=P(A)−P(A∩E)=0.5−0.3=0.2
です。
残りは、
P(Ac∩Ec)=1−0.3−0.1−0.2=0.4
です。
したがって、分割表は次のようになります。
| 効果あり E | 効果なし E^c | 合計 |
|---|
| 投与あり A | 0.3 | 0.2 | 0.5 |
| 投与なし A^c | 0.1 | 0.4 | 0.5 |
| 合計 | 0.4 | 0.6 | 1 |
独立なら、
P(A∩E)=P(A)P(E)
が成り立ちます。
しかし、
P(A)P(E)=0.5×0.4=0.2
である一方、分割表より、
P(A∩E)=0.3
です。
一致しないので、薬の投与と治療効果は独立ではありません。
同じことは条件付き確率でも確認できます。
P(E∣A)=0.6,P(E)=0.4
なので、
P(E∣A)=P(E)
です。
例題4:副作用の上限
ある薬について、眠気が出る事象を A、吐き気が出る事象を B とします。
P(A)=0.12,P(B)=0.08
このとき、眠気または吐き気の少なくとも一方が出る確率の上限を求めます。
解答
劣加法性より、
P(A∪B)≤P(A)+P(B)
です。
したがって、
P(A∪B)≤0.12+0.08=0.20
です。
眠気または吐き気の少なくとも一方が出る確率は、高くても 20% と評価できます。
この評価では、眠気と吐き気が独立かどうかを仮定していません。
例題5:有効かつ安全である確率
ある治療で、有効である事象を A、重い副作用が出ない事象を B とします。
P(A)=0.75,P(B)=0.92
このとき、「有効であり、かつ重い副作用が出ない」確率の下限を求めます。
解答
Bonferroni の不等式より、
P(A∩B)≥P(A)+P(B)−1
です。
したがって、
P(A∩B)≥0.75+0.92−1=0.67
です。
つまり、有効であり、かつ重い副作用が出ない確率は、少なくとも 67% と評価できます。
ここでも、薬効と副作用の有無が独立であるとは仮定していません。
例題6:薬学部らしい例題 服薬アドヒアランスと血中濃度
患者が指示通り服薬している事象を A、血中濃度が治療域に入る事象を T とします。
次の確率が分かっているとします。
P(A)=0.8,P(T∣A)=0.9,P(T∣Ac)=0.3
血中濃度が治療域に入る確率 P(T) を求めます。
解答
A と Ac で場合分けして、全確率の公式を使います。
P(T)=P(T∣A)P(A)+P(T∣Ac)P(Ac)
です。
ここで、
P(Ac)=1−P(A)=0.2
なので、
P(T)=0.9×0.8+0.3×0.2
です。
したがって、
P(T)=0.72+0.06=0.78
となります。
血中濃度が治療域に入る確率は 78% です。
この例では、服薬アドヒアランスによって血中濃度の分布が変わるため、A と T は一般には独立ではありません。
例題7:AI創薬モデルの陽性的中率
候補化合物の中で、実際に標的タンパク質に強く結合する化合物の割合を 5% とします。
実際に強く結合する事象を A、AIモデルが「有望」と判定する事象を + とします。
P(A)=0.05
モデルの感度、つまり実際に強く結合する化合物を有望と判定する確率を 80% とします。
P(+∣A)=0.80
一方、実際には強く結合しない化合物を誤って有望と判定する確率を 15% とします。
P(+∣Ac)=0.15
モデルが有望と判定した化合物が、実際に強く結合する確率 P(A∣+) を求めます。
AIモデルの陽性判定は、真のヒット率を 5% から約 21.9% に濃縮する情報として解釈できます。
解答
ベイズの定理を使います。
P(A∣+)=P(+∣A)P(A)+P(+∣Ac)P(Ac)P(+∣A)P(A)
です。
まず、
P(Ac)=1−P(A)=0.95
です。
分子は、
P(+∣A)P(A)=0.80×0.05=0.040
です。
分母は、
0.80×0.05+0.15×0.95=0.040+0.1425=0.1825
です。
したがって、
P(A∣+)=0.18250.040≈0.219
となります。
有望と判定された化合物でも、実際に強く結合する確率は約 21.9% です。
これは低く見えるかもしれませんが、ランダムに選ぶと 5% なので、モデルにより候補化合物はかなり濃縮されています。
創薬スクリーニングでは、「当たる確率そのもの」だけでなく、「ベースラインからどれだけ濃縮できたか」も重要です。
確率変数
確率変数とは、標本空間の結果を数値に変換する関数です。
X:Ω→R
例えば、サイコロの出た目をそのまま数値にするなら、
X(1)=1,X(2)=2,…,X(6)=6
です。
確率変数を使うと、
P(X≤3)
のように、数値の範囲で確率を表せます。
サイコロなら、
P(X≤3)=P({1,2,3})=63=21
です。
分布関数
確率変数 X に対して、
F(x)=P(X≤x)
で定義される関数を 分布関数 といいます。
分布関数は、x 以下の値をとる確率を表します。
離散型でも連続型でも使える、確率変数の基本的な表現です。
分布関数は次の性質をもちます。
0≤F(x)≤1
x≤y⇒F(x)≤F(y)
また、
x→−∞limF(x)=0,x→∞limF(x)=1
です。
一般的な確認問題
ここまでの薬学例から少し離れて、確率の基本操作だけを使う問題も解いておきます。
統計検定1級では、応用文脈を外しても、条件付き確率、独立性、全確率、ベイズの定理を素早く使えることが大切です。
問題1:和集合と共通部分
2つの事象 A,B について、
P(A)=0.45,P(B)=0.30,P(A∩B)=0.12
とします。
次を求めてください。
- P(A∪B)
- P(Ac∩B)
- P(A∣B)
解答
まず、和集合の公式を使います。
P(A∪B)=P(A)+P(B)−P(A∩B)
なので、
P(A∪B)=0.45+0.30−0.12=0.63
です。
次に、Ac∩B は「B は起こるが A は起こらない」部分です。
B は、
B=(A∩B)∪(Ac∩B)
と分けられ、この2つは排反です。
したがって、
P(B)=P(A∩B)+P(Ac∩B)
です。
よって、
P(Ac∩B)=P(B)−P(A∩B)=0.30−0.12=0.18
となります。
最後に条件付き確率です。
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)
なので、
P(A∣B)=0.300.12=0.40
です。
問題2:独立性の判定
2つの事象 A,B について、
P(A)=0.6,P(B)=0.5,P(A∩B)=0.3
とします。
A と B は独立ですか。
解答
独立であるための条件は、
P(A∩B)=P(A)P(B)
です。
右辺を計算すると、
P(A)P(B)=0.6×0.5=0.3
です。
これは与えられた
P(A∩B)=0.3
と一致します。
したがって、A と B は独立です。
同じことは条件付き確率でも確認できます。
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)=0.50.3=0.6
であり、
P(A∣B)=P(A)
なので、やはり独立です。
問題3:全確率の公式
事象 B1,B2,B3 が標本空間を排反に分割しているとします。
P(B1)=0.2,P(B2)=0.5,P(B3)=0.3
また、事象 A について、
P(A∣B1)=0.1,P(A∣B2)=0.4,P(A∣B3)=0.7
とします。
P(A) を求めてください。
解答
全確率の公式より、
P(A)=i=1∑3P(A∣Bi)P(Bi)
です。
それぞれ代入すると、
P(A)=0.1⋅0.2+0.4⋅0.5+0.7⋅0.3
です。
計算すると、
P(A)=0.02+0.20+0.21=0.43
となります。
問題4:ベイズの定理
事象 B1,B2 が標本空間を排反に分割しており、
P(B1)=0.7,P(B2)=0.3
とします。
また、
P(A∣B1)=0.2,P(A∣B2)=0.6
です。
A が起こったとき、それが B2 側から来た確率 P(B2∣A) を求めてください。
解答
まず、分母となる P(A) を全確率の公式で求めます。
P(A)=P(A∣B1)P(B1)+P(A∣B2)P(B2)
なので、
P(A)=0.2⋅0.7+0.6⋅0.3=0.14+0.18=0.32
です。
ベイズの定理より、
P(B2∣A)=P(A)P(A∣B2)P(B2)
です。
したがって、
P(B2∣A)=0.320.6⋅0.3=0.320.18=0.5625
となります。
まとめ
確率は、事象に数を対応させる関数です。
その土台は、標本空間、事象、確率測度からなる確率空間
(Ω,F,P)
です。
条件付き確率、独立性、ベイズの定理は、すべてこの確率空間の上で定義されます。
さらに、確率変数を使うことで、偶然の結果を数値データとして扱えるようになります。
この考え方が、期待値、分散、標本平均、推定、検定へつながります。